いわゆるプログラム

マーケティングプラン、ボーナスプラン、セールスコンペンセーションプランとも呼ばれます。主宰企業によって、呼び方も千差万別ですが、これらは報酬の支払いに関する取り決めごとのことです。 


ネットワークビジネスは、商品の愛用者の輪を広げていく普及活動が基本です。

当然、メンバーはその商品の詳しい特徴や、それを使うことによって得られるメリットなどを十分理解し、学習してから、スポンサー活動を開始することになります。まず、商品知識と自らの体験を伝えることが最初の仕事。つぎに、報酬に関する取り決めを正確に伝えることが必要です。愛用者を増やすだけでは、加速度的な収入アップは望めないからです。

ビジネスとして取り組む上で、実際に「どのような実績を挙げると、どのように報われるのか」ということを正確に伝えること自体、商品知識に次いで重要なポイントなのです。最近では、どの主宰企業も工夫を凝らした魅力のあるプランづくりが目立ちます。ディストリビューターの多様なニーズに応えるため、ボーナスプランも日々進化し、複雑化しているのが現実です。 


ネットワークビジネスの主宰企業では、複雑なコミッション計算を大量に処理するために、当然コンピュータを使います。市販の計算ソフトでは、まったく対応できないため、専用の業務管理ソフトを開発するのです。

つまり、どこでどういう売り上げがあると、誰にいくら払い出されるかということを機械が正確に処理していくのです。ソフトの制作は、内容によって2~3ヵ月以上かかることもあります。当然、金額もそれ相応にかかります。

しかし、正確なコミッションの計算や業務管理がなされないと、会員との信頼関係が崩れ、組織の崩壊につながる場合もあります。さらに、急激に売り上げが伸びたときなど、とても手計算では対応しきれないので、大きな混乱を招いてしまいます。

人件費などのコスト面や、抱えるリスクを考えると、最初から自社専用の業務管理ソフトを立ち上げておくほうが安全です。数千人の未整理データの整備には、ソフト開発以上のコストと時間がかかる場合があるのです。データの整備などは、時間とお金を使えば解決できるのですが、一度失った信用は取り戻せないからです。

プランを構成パーツごとに理解しよう

この特集では「報酬の支払いに関する取り決めごと」を、統一して「マーケティングプラン」と呼ぶことにします。「プランは苦手」という人は少なくありません。基本的に算数ですから、特に中高年の女性は「見るのも嫌」な方も多いのです。MLMに参加して勉強しなければいけないことの中で唯一不得意分野があるとすれば、間違いなく「マーケティングプラン」がナンバーワンにあげられます。

しかし、報酬のシステムを理解することは「単に収入計算がわかる」だけではないのです。


たとえば、耐久消費財型なのか、消耗品型なのか。

瞬発力がメインなのか、長期安定型なのか。


その主宰企業の経営理念や、ビジョンなどを深く理解するうえでとても役に立つ判断材料となります。マーケティングプランの理解を深めることによって、自分のニーズに合ったビジネスをしっかりと選択することもできます。MLMビジネスで成功を目指すためには、避けては通れない項目なのです。


現行のプランのほとんどは、いくつかの基本的な計算方式を複合させることによって作られています。本講座では、マーケティングプランを構成するパーツごとに分けて多角的に分析します。

少々堅い内容かもしれませんが、最後まで目を通すと「ああ、このプランはセブンアップ方式のユニレベルと、マトリックスとの組み合わせがメインだね。パーセンテージと付帯条件はどうなっているのですか?」なんてスラスラと言えるようになるかもしれません。

ステアステップ

昇格のためのハードルをクリアしよう!

ステアステップ・ブレークアウェイ方式は、最もポピュラーなプランで「多段階方式」とも呼ばれます。売り上げによる昇格条件などを達成すると、段階的に還元率が優遇され昇格していくシステムです。

売り上げによる昇格条件は、その主宰企業によって、累積で判断される場合と、単月(1ヵ月)の実績で判断される場合、さらに2~3ヵ月の累積合計(ロールという)で判断される場合の、3通りがあります。


外資系のアムウェイ、ニュースキン、FLPジャパン、ハーバライフなども、細部の条件は異なりますが、基本的にはステアステップ・ブレークアウェイ方式です。

まずは、スタートして最初の部分、「ステアステップ」から分析してみましょう。


ステアステップの特徴のひとつに、売り上げボリュームによって昇格できる到達点を設けていることが挙げられます。(図1参照)。アムウェイではダイレクトディストリビューター、ニュースキンではエグゼクティブと呼ばれます。

参加したメンバーは、まずその到達点を目標とします。(タイトル、ランク、ポジションなどと呼ばれます)

そのためにはいくつかのハードル(昇格条件など)を、超えなければなりません。先に述べた売り上げの条件以外に、ダウンに特定の有資格者を育成しなければならないという条件が定められているケースもあります。(系列条件と呼びます)

ハードルの難易度は、MLMの主宰企業それぞれで異なりますが、難易度が高いほど、そこに到達した後のメリットが大きくなるように設定されています。

「なぜ、そんなハードルがあるのだろう? 最初からトップでスタートさせてくれればいいのに」なんていう疑問を持つ人もいると思いますが、ステアステップの構造上、 トップのポジションは、会員の目標となるステイタスシンボルとしても機能しなくてはなりませんから、目標となるポジションの人は、目標となるくらいの収入をすでに得ていなければ意味がないのです。第二点は、ネットワークビジネスの基本的な構造に、その理由があります。


つまり「上位者に特定の還元をした実績によって昇格していく」というのが、MLMの大原則だからです。これを「先順位者の優位性」と言います。言い換えると、自分がそのポジションに到達した後は、自分の下位メンバーが昇格条件を目指して頑張ったり、条件を達成したりすることにより、特定のメリットを受けることができるということです。

この基本構造が連鎖することによって初めてMLMは成立します。


テアステップ採用企業のプランを見ると、さまざまな付帯条件を複合させているケースがほとんどです。例えば、PSVが特定のボリュームを超えると、さらに還元幅がアップする制度などがそれにあたります。ニュースキンでは、パーソナル・セールス・インセンティブ・リベートや、ファミリーリンクボーナスがこれに相当します。

ブレークアウェイ

大手が採用する基本プラン、条件クリアで独立だ!

ステアステップによって、特定の到達点に達すると、今度は独立したグループとしてみなされます。これがブレークアウェイです。それまでは上位者の誰かのグループに所属していたことになります。

ところが、ここに問題が出てきます。自分のダウンが、次々に自分と同じランクに昇格してきた場合を想定してみると、同ランクが縦につながるので、ダウンが昇格基準を満たす時には一時的に収入が上がるが、ダウンが昇格した後は差額収入が発生しなくなります。


そこで、主宰企業はさらに収益を保証するプログラムを設けることになります。


自己グループ内で独立してきたメンバーの、PGSV(パーソナルグループセールスボリュウム)の一定額を上位の同格者に保証する制度です。「育成保証」「育成指導料」などと呼ばれる場合もありますが、「オーバーライド」という呼び方が多く使われています。

特に、消耗品を主力とするネットワークの主宰企業の多くに奥行き深く、数レベルにわたってボーナスを獲得できる仕組みが組み込まれている場合が多い。高額収入者を生み出す仕組みは、ブレークアウェイをした後の仕組みが大きくかかわっています。


オーバーライドは、ニュースキン、ハーバライフ、FLPジャパンなど多くが採用していますが、各社で呼称は異なります。(ニュースキンはブレークアウェイボーナス)ブレークアウェイ後の、保証プログラムには、オーバーライドの他に「パスアップ」という方式もあります。

パスアップは外資系ではアムウェイ、国内ではウィンズインターナショナル、グリオ、スカイクリスタル、サイバーブレインなど、多くの企業が採用しています。

ステアステップ、ブレークアウェイ方式のメリットは、まず、シンプルで伝えやすいこと。次に、他のプログラムと複合しやすいことなどが挙げられます。さらに、段階的に昇格条件にチャレンジすることから、グループの売り上げに勢いがつきやすい、ということもいえます。

10年以上継続して安定した実績を上げているMLM企業の多くはこの方式を採用しています。


ステアステップの段階的な仕組みは一般の流通にも通じます。一般の流通では、一度に仕入れる量によって仕入れ掛け率が変動しますし、仕入れの累積実績によって安く仕入れることができる場合もあります。普通の流通のシステムと似ている部分があることから、初めての人でも違和感なくMLMに参加することができるメリットがあります。なにも複雑なプログラムがすべて優秀とは限りません。

「伝えやすい」か否かというのも、重要なポイントとなります。

オーバーライド

ブレークアウェイ後の代表プログラム-NBの魅力印税的収入が発生する

ステアステップで発生する収入と、ブレークアウェイ以降のプログラムで発生する収入を比較すると、そこに特徴の違いがみられる。ステアステップで発生する収入は、商品の小売り(リセール)によって得られる利益や、メンバーのポジションの違い(還元率の違い)によって得られる差額収入がメインとなる。自分のパーソナルグループから得られる収入だから組織図で見ると、比較的に自分から近い位置で発生する。


これに対して、ブレークアウェイ以降の収入は、下位に派生したパーソナルグループ単位で、何段階も先の売り上げが対象になったり、特殊な計算方法によって、下位メンバーのすべての売り上げが永久に還元対象となることもある。場合によっては、まったく自分のあずかり知らない遠いところで起こった売り上げすらも、収入の対象となったりする。

このような収入の発生のしかたは、よく飛行機の離陸に例えられる。


「飛行機は、離陸して一定の高度に達するまでに、燃料の大半を使い果たすといわれている。しかしある程度の高度に達してしまうと、そこから先は飛び上がるときに使った10分の1以下のエネルギーで、いつまでも飛び続けることができる」


つまり、最初のうち苦労をして努力を積み重ね熱心に普及活動を進めるメンバーを育成してしまうと、あとは育成したメンバーの個々の努力によって、継続して安定した収入が保証される、という例え。すなわち、ネットワークビジネスの最大の魅力とされる「権利収入」(印税的収入)の発生だ。

ブレークアウェイ以降の、代表的なプログラムと言えば、やはりオーバーライドが挙げられる。ここではパスアップと比較しながら、その仕組みや特徴を説明する。


オーバーライドとパスアップを混同している人は意外に多い。

この二つはまったく異なる計算方法なので注意したい。

前にも述べたように、オーバーライドの基本的な仕組み(図2参照)は


「下位の同格者のPGSVの一定率が上位の同格者に保証される」


というシステム。その際、自分から数えて何段先の同格者であるかを表すために「レベル」という呼び方がよく使われる。「世代」と呼ぶケースもある。

自分から1段先だったら1レベル、2段先だったら2レベルというように使う。

この場合、あくまでもパーソナルグループ単位でのことだから、2レベルといっても、自分から数えて2人目ということではない。同格者を数えて2人目ということだ。

人の単位でレベルを区切る方法はユニレベルという。


ちなみに、ニュースキンは最高6レベルまでがボーナスの対象となっている。

ただし、還元のレベルが深ければ深いほど優秀、というわけではない。単純にそこの部分だけでプランの是非は判断できない。さまざまな要因が複雑に絡み合ってひとつのマーケティングプランが形成されている。


外資系の消耗品型ネットワークビジネスの多くは、レベルごとに5%のオーバーライドを還元する場合が多く見られる。3%+2%+1%などのように、レベルが遠くなると還元が少なくなる場合もある。これは昇格条件のハードルの高さや、総還元額の中でオーバーライドの還元が占める割合などを考えて決められていく。


FCにも例えられるシンプルなプログラム

オーバーライドの形は、一般流通で例えると、チェーン店やフランチャイズなどを拡張していくケースとよく似ているし、よく比較されたりもする。グループ売り上げに対するパーセンテージの計算だけだから、シンプルで伝えやすいプログラムだ。


このような計算方法のプログラムには、ある特定のレベルで「下限」が設定されている。下限とはどこのレベルまで還元されるかという限界点のこと。どこまでもボーナス対象にしてしまうと、いつかは払い出し合計が商品代金を超えて、いわゆる「過払い」の状態になってしまう。

商品には当然原価があり、企業の運営費や利益を確保したうえで、残りをコミッションとして配分することになる。過払いになってしまっては間違いなく破綻してしまう。還元するレベルにはおのずと限界があるのは致し方ない。


いわゆるマネーゲームと呼ばれるものや、悪質なモニター商法などは、よくよく計算してみると過払いになっていることが多い。プログラムの仕組みをしっかりと理解していないと、つい甘い話に乗せられて、ひどい目に遭うこともあるので注意が必要だ。

パスアップ

オーバーライドと同じ権利収入プログラム

コミッション対象の売り上げの下限設定がない

パスアップの特徴は、コミッションの計算対象となる売り上げの「下限」の設定がないことだ。前述のオーバーライドには「何レベル先まで」という払い出しの限界点が設けられているが、パスアップにはそれがない。では、どうして払い出しが重複してもパスアップでは過払いにならないのだろうか。それは、「一定の基準額を、下位から上位へ永久繰り上げていく」という特殊な計算方法に秘密が隠されている。


オーバーライドの払い出しを金額を決定する要素は「何レベル先まで何%なのか」の2項目。それに対して、パスアップの払い出し金額を決定する要素は「定められた基準額と還元率(%)」という2項目だ。 一定の基準額を上位に繰り上げていく計算方式なのですが、文章にすると、とてもややこしくなるので図を参照してください。


ここではAが得られるパスアップボーナスを計算している。

基準額200万円、還元率10%という設定でシミュレーションしてみる。

(図3参照)のB・C・Dの売り上げは、基準額の200万円を繰り上げる。

Aに繰り上がってきた合計金額は600万円になるが、Aもまた上位に200万円を繰り上げなければならないので、Aに残る権利は400万円となる。

その残り400万円に還元率10%をかけると、Aのボーナス計算ができる。

(600万円-200万円)×10%=40万円となり、Aが得られるパスアップボーナスは40万円となる。それでは、B・C・Dのところに残った分(繰り上げ後の残高)はどうなるか。


(図3参照)では、B・C・DはAと同格で、パスアップの権利があるので、繰り上げの後の残高×10%をそれぞれのボーナスとして受け取ることができる(B・C・DがAと同ランクではなく、パスアップの有資格者でない場合、総額がそのままAに繰り上がる)。(500万円+300万円+300万円-200万円)×10%=90万円)


その場合のB・C・Dのボーナスを計算してみる。

▲Bのパスアップボーナス(500万円-200万円)×10%=30万円

▲Cのパスアップボーナス(300万円-200万円)×10%=10万円

▲Dのパスアップボーナス(300万円-200万円)×10%=10万円


それでは、B・C・Dが基準額を超えていない場合どうなるのだろう(図4参照)。

B・C・Dは基準額に達していない。その場合は満たない金額のまま繰り上がります。

つまり、Aには合計300万円の権利が発生し、B・C・Dは基準額をクリアしていないのでパスアップボーナスは発生しない。

前回と同様に、Aも上位に基準額を繰り上げるルールなので、300万円-200万円=100万円となり、100万円×10%=10万円がAのパスアップボーナスとなる。


基準額をパスして繰り上げる(アップする)こと、これがまさしくパスアップの意味なのだ。

オーバーライドがレベルの制限と還元率によって払い出しの限度を設けているのに対し、パスアップは、基準額と還元率によって払い出しの限度を設けている。

前に、オーバーライドのシミュレーションをしたが、今度は同じパターンでパスアップを再計算してみよう。 図を見ておわかりのように、繰り上がるのはあくまでも基準額の200万円だ。自分と下位との合計が200万円を超えた場合、自分から上位に、基準額を繰り上げた後の残額の10%が、その位置で払い出される。


「一本伸び」ではパスアップのメリットは少ない

(図5参照)の例1、例2を参照して、さまざまなケースのパスアップを研究してみよう。

例1のグループ総売り上げは1500万円、例2のグループ総売り上げは1200万円だ。

グループ全体の売り上げは、例1のほうが多いにもかかわらず、例2のAのほうがパスアップボーナスは多くなる。これは、B以降のダウンが、いくら大きな売り上げであっても、Aに繰り上がる基準額が一定であることから、このようなことが起こる。


1系列伸びでは、どうなるのか。

(図6参照)の例3、例4を見ると、例3では、Bがいくら大きく売り上げても、繰り上がるのは基準額の200万円のみだ。さらに、Aもまた200万円を繰り上げるので、差し引きが0となり、Aのパスアップは発生しない。例4でも同様に、Bから200万円が繰り上がります。Aが上位者に繰り上がるのは200万円だから、パーソナルの100万円に対してパスアップが適用になり、100万円×10%=10万円が、パスアップボーナスとなる。

以上のことからわかるように、一本伸びではパスアップのメリットはあまり期待できない。

しかし、2系列以上がアクティブであれば、何万人先で起こった売り上げでも系列ごとに一定の基準額の範囲内で、権利収入を得ることができる。


さて、このパスアップ方式を初めて日本に持ち込んだのは、日本アムウェイなのだ。

日本に上陸した当初、240万V達成が2系列で7万円程度の支給だった(今は率が変更されている)。つまり、基準額240万V、還元率は約3%ということだ。3系列達成だと14万円、4系列だと21万円だから、呼び方は違ってもパスアップの永久還元システムには変わりはない。


なんといっても、パスアップの大きな魅力は「永久還元」にある。基準額という制限はあるが、「自分から何万人先で起こった売り上げでも収入の対象となる」というのは、まさに究極の権利収入のカタチであるといえる。


パスアップとオーバーライドともに、それぞれメリット、デメリットがある。

どちらが優れているか、一概には決められない。取り扱う商材の価格や性質にもよるし、そのビジネスのコンセプトや、ビジョンなどにも大きく左右されるからだ。「伝えやすさ」ではオーバーライドの勝ちだ。2系列以上完璧にアクティブであれば、「恒久的な安定収入」という面において、パスアップのほうが面白いかもしれない。


ちなみに、パスアップとオーバーライドを複合させることは可能だ。

複合させると双方のメリット、デメリットを互いに補うことができるだろう。

パスアップは「自転車の乗り方」のようなもので、一度理解してしまうと、あっけないほど簡単にイメージできる。

ユニレベル

モリンダ、日本樹林で再び脚光!単純明快で他プランとの複合も

非常にシンプルなプログラムだ。説明がしやすく、他のプログラムとも複合されやすいため、頻繁に使われる。モリンダや日本樹林などの国内外の多くのネットワークビジネス企業が採用している。


「ユニ」という意味は、「1」とか「単」という意味だ。複数に対する反意語の意味もある。

前に取り上げたオーバーライドがパーソナルグループを単位とした「レベル」を対象に計算されるのに対して、ユニレベルでは、1人につき1レベルとして数える。基本構造はオーバーライドと同じだ。しかし、オーバーライドが特定のグループに対して適用されるのに対してユニレベルでは個々がその対象となる。


このユニレベルも単純明快であるがゆえに、他のプログラムと複合されて使用される。1人が1レベルとして、おのおの還元対象となるということは、払い出しの下限に到達してしまうのも、おのずと早まってしまうからだ。ただし、計算のシミュレーションがしやすいと言う点では、他のプログラムよりも勝っている。何度も繰り返すようだが、「伝えやすい、イメージしやすい」ということは、ビジネスを進める上での重要なメリットとなる。「1人が何人紹介者を出せば、何レベル先ではいくらの収入になる」という収入計算が、瞬時にできるのがユニレベルの大きな魅力なのだ。


それでは実際に、ユニレベルのマーケティングプランを例に(ライフプラス社の事前活動初期のプランを使わせていただいた。現在はプランが変更になっている)シミュレーションしてみよう。図1を見ておわかりのように、ユニレベルは、オーバーライドのように、プログラムの後半に適用になる(ステアステップで到達した同格の保証のような使われ方)のではなく、ビジネスをスタートして、すぐに適用される場合がほとんどだ。

参考例(図7参照)のユニレベルでは、ユニレベルの下限でもある7レベル以降の保証を「インフィニティーボーナス」という名称で、1%から最高6%までの還元をしている。7レベル以降のインフィニティーボーナスを得るためには、アクティブラインの本数や、6レベルまでの合計購入金額などの条件が、あらかじめ設定されている。その条件を達成したメンバーが権利を得るわけだが、永久還元ではない。


自分のダウンで、同様の条件を達成したメンバーが生まれた場合、そこまでで打ち切りとなる。なぜかというと、永久に還元すると、当然、「重複過払い」になってしまうからだ。インフィニティーという意味は、「永久」という意味だが、この場合は「次の達成者ができるまでは永久に」というとらえ方をしなければ、誤った伝え方をしてしまうことになるので、注意が必要だ。

セブンアップ

ユニのメリットを引き出すプラン!直紹介者の数で奥行きもできる!

ユニレベルは、レベルの対象がグループではなく個人であるために「5レベル先」ということが、そのまま「5人先」ということになってしまう。たかが5人先といえども、1人が5人ずつ紹介者を出せば大きな数字になるわけだが、実際はシミュレーション通りにはならない。


シミュレーション通りにいけば、あっという間に、日本の人口を超えてしまうのは周知のことと思う。「紹介者を出せる人」よりも「紹介者を出せない人」の絶対数の方が多いのだ。

そこで、アクティブにビジネスを進めているメンバーは、説明会や勉強会などのミーティングを頻繁に行ったり、ホームパーティーを開催したり、さまざまな普及活動に励むことになる。


アップラインにしてみれば、自分の直のダウンから、なるべく多くの紹介者を出したい。1人より2人、2人より3人、3人より4人と多ければ多いほど、レベルが遠ざかるごとに加速度的にメンバーが増えることになるからだ。

特にユニレベルは、レベルの対象が個々であることから、払い出しの下限に達成するのが早いので、紹介者をいかに横に広げさせるかということが、高収入への重要なポイントとなる。そこで、ユニレベルのメリットを一層効果的に活用するために使われるようになったのが「セブンアップ」と呼ばれる付帯条件だ。


セブンアップ方式を一言で表現すると「直紹介者の数によって還元されるレベルの奥行きが深くなる」となります。「横に広げると遠くからも収入が届きますよ」ということなのだ。これは、非常に合理的なプランで、オーバーライドにも付帯条件として設定されている場合が多く、外資系の大手企業もブレークアウェイ後のオーバーライドに、同様の方式を採用している。


(図8参照)を見ると、直接の紹介者数が増えるごとに、還元になる奥行きのレベルが増えていくのがわかる。これがセブンアップ方式だ。最高還元レベルが6レベルでも9レベルでも総称として「セブンアップ」という。アメリカのある州の法律で、7レベルまでしか還元が認められず、そこで最初に採用され多用されたことから「セブンアップ」という呼称が使われるようになったそうだ。

セブンアップ方式が、ユニレベルの付帯条件として使用されている場合は、単に直フロントの数のみが、還元レベルの深さを決定する基準となる場合が多いのですが、オーバーライドの付帯条件に採用される場合は、かなり工夫して使われている。

セブンアップ方式の付帯条件が設定されていることによって、メンバーは、より多くの直紹介者を出そうとするから、グループ全体の厚みが確保されていくというわけだ。


「より多くの愛用者を増やそう」ということだから、ネットワークビジネスの合理性をダイレクトに実現したプログラムだともいえる。

耐久財・消費財

扱う商品で違う報酬プラン!自分好みでビジネスを決めるべし

ネットワークビジネスを、商品性の違いで分けると、高額の「耐久消費財型」と、比較的安価な「消耗品型」に分類できる。


耐久消費財とは、主に家庭で使われるテレビや冷蔵庫などの家電製品のことを指すが、ネットワークビジネスの場合、量販店で取り扱われている種類の商材はまず扱わない。

これはネットワークビジネスのもつ本質「口コミによる普及」という面から考えても目的が一致しない。第一に、量販品は還元するパーセンテージが確保できないからだ。

従って、その取扱商品「説得商品」=「訪販向け商品」に限定されてしまう傾向にある。


例えば、治療器・美顔器・高級羽毛布団・浄活水器・24時間風呂などだ。

実際に使っている人の体験などを含めた、十分な説明と説得があって初めてその商品の必要性を感じて、購買に結びつく商材がネットワークで扱われる耐久財の多くを占める。


サプリメント(栄養補助食品)や化粧品、ホームケア用品などと違って、継続して繰り返し購入される性質ではないのでプログラムも、その性質に見合った工夫がなされていなければならない。1万円のものをクロージングするのと、30万円のものをクロージングするのとでは、それにかかる体力・時間・経費・応援など、すべての面で高くつくことになるからだ。


耐久財型の場合、直接の紹介者(直販売者)の報酬は、ある程度厚くないと割りに合わない。同様に、その応援に同行する上位者にも同じことが言える。

消耗品型のネットワークのように、同格保証の部分(オーバーライドやパスアップ)の合計還元幅を、厚く取ってしまうと、おのずと小売り利益や上位者の差額収入の割合が少なくなってしまう。


「最初からある程度、努力に見合った収入を得ることができて、しかも将来的には、自分で販売し続けなくても、一定の収入が得られる」という両面性を満たさなければいけないというところが、耐久財型プログラムの今後の大きな課題となるだろう。


耐久財型ネットワークは、常に新規の愛用者を開拓していかなければならないという不安定要素のある反面、短期間で収入を獲得することができるという大きな魅力もある。自分のニーズに合ったビジネスを、いろいろな角度から検討して分析をしてみることが大切だ。

ワン・ツーシステム

単品の耐久財型企業で多く採用!2×4と呼ぶことも

あまりなじみのない呼称かもしれない。「ワン・ツーシステム」と、ダイレクトに呼ばれることは少ないが、このプランを基本形にした、さまざまなタイプの改良型が使われている。

プログラムの性質上、単品の耐久財のネットワークで採用される場合が多い。


大まかに定義すると、「ダウングループの、ある特定の紹介順位から、一定率が永久に還元される」というものだ。ここでいう「紹介順位」は登録の順位のこと。いままでに、その他のプログラムと比べて「登録の順位」が収入を左右するという意味では、珍しい部類に入る。

場合によっては「ツーバイフォー」と呼ばれる場合もあるが、マーケティングプランの説明の中で、「昇格ライン」「収益ライン」いう言葉があったら、このワン・ツーシステムが原型だと思って間違いない。


それではチャートで説明する。

ここでは、B1・B2からそれぞれC1・C2が派生しているが、例1で解説したように、直上に10%の還元があるだけで、Aさんには還元がない(Bレベルまでの還元)。ところが、B3以降のC1・C2は直上に10%(これは紹介順位に関係なく一律)の還元以外に、Aさんに40%を還元するように設定されている。つまり、B3以降の、1番目と2番目の紹介者はAさんの権利収入のラインとなるわけだ。


それではCレベル以降はどうなるのか(図9の例3)を参照する。

B3から派生した、C1、C2、さらにそこから派生した1と2の番号の売り上げはすべて、Aさんに40%が還元される。これは、B3以降ならばB4でもB5でも、同じことになる。つまり、直上に10%、Aさんに40%の還元を繰り返しながら、組織が伸びていく(合計還元は50%)。重複過払いにならずに、永久にAさんの権利収入の対象となる。


それでは、図9の中のB3さんは、どうやって権利収入を得るのだろうか。

答えはC3以降で派生した1番目と2番目が、B3さんの権利となる。

誰でも同じことが当てはまる。誰もが、1番目と2番目を経て、初めて収益ラインに到達できる仕組みになっている。そしてその際の1番目と2番目は、上位の誰かの収益ラインになっている。


今回の例えは、3人以上の紹介者がいなければ、1番目と2番目の10%のみで終わってしまうことになる。これは、条件の設定のしかたで自在に変えることができる。


さらに図9・例1を分析してみる。

B3は総還元額(50%)を払い出しているが、B1・B2は10%のみしか記載されていない。残りの40%還元は、Aさんの登録順によって、上位の誰に払い出されるのかが決定される。

このプログラムは「組織図上の位置(紹介順位)と還元率、という2項目で設定された永久還元」ということができる。しかも10%の払い出しと、40%の払い出し先の2通りしかないので、重複の過払いが起こりえないことが、一目瞭然でわかると思う(10%と40%というのはあくまで参考例)。


やはりパスアップなどと同様に、説明が若干難しくなるが、永久還元をするには単純な足し算的な条件設定では、絶対に無理がある。

過払いにならないようにさまざまな工夫が必要だろう。最近では磁気水や空気清浄機のメーカーなど、またダイエットと脳内活性の商材でMLMを展開するサンヨーなどがこのプランの改良型を使って、組織を拡大している。

バイナリー

2つの倍数でつくる流行のプラン

1990年代後半ころ、米国のMLM企業「ザ・ライトソリューション」(TRS)が初めて日本に広めた仕組みで、比較的に歴史は新しく、後に国内で頻繁に採用され、近年急成長したプランです。消耗品のプランでは現在最も人気があります。

会員は組織図上では2人の直紹介者しか出すことができません。2の倍数で組織図が構成されていきます。(バイナリーマップまたはマトリックスマップと呼ばれる)3人目以降の直紹介者は、ダウングループの特定の位置にポジショニングされていきます。(ただし、実際の紹介者つながりの組織図もシステム内に管理されている。)


自分以下の組織で特定の位置(プランの内容によって多様)に、コンピュータによって自動的に配置されるシステムを「オートポジショニング」と呼びます。(マッピングと呼ばれる場合もある)

つまり「強い上位者(直紹介者を多数出せる)のダウンにつくと、自分の傘下が自動的に構築される」ということになり、それまでのNBにはなかった新たなモチベーションが追加されることとなりました。自分のダウンのメンバーに自分の紹介者を付けてやることができる(損をすることはない)唯一の仕組みがバイナリーの大きな特徴です。


また、直上者を指定する(誰のダウンにつけるかを指示する)場合もあります。3人目以降の紹介者を、ビジネスを進める上で最も有効な位置に意図的に配置していく方法です。上記以外の中間型(セミオート)の配置の方法もあり、主宰企業のコンセプトによってさまざまに工夫されています。これは、バイナリーの計算方式の最も大きな特色で、左右のグループのどの位置で売上が起こっても、上位者の収入が左右されないシステムだからです。自分のダウンの第三者に組織図上、自分の直紹介者を付けてやっても、自分にとっての総合計は変わらないので、システム上も団体戦で戦うことのできるプランがバイナリーシステムです。


バイナリーは本来2進法という意味ですが、2×マトリックス(ツーバイマトリックス)と呼ばれる場合もあります。マトリックスは、本来「母体・基盤・行列」などを意味します。「縦割りと横割の二元的な組織編成」という意味もあり、マーケティングプランで使われる場合は「組織図を一定の法則によって数列化する。」というような定義になります。


バイナリーにおける最もオーソドックスな支払いの仕組みは、一定の売り上げ基準を定めて、レフトとライトの少ない側がその基準に達した時に、一定のコミッションが払い出される仕組みです。

これは何度も繰り返されるので「サイクルボーナス」と呼ばれます。この場合、払い出しレベルの下限設定は無いので永久還元となります。ただし、レフトとライトのどちらか一方が伸びて、片方が止まってしまうと収入は発生しづらくなります。左右のバランスが大切なプランです。

最近の傾向としては、バイナリーに、複数のプランを複合させて、片伸びしても一定の収入が発生するように工夫したものが増えてきています。


バイナリーの還元率の計算は非常に複雑で、組織の出来方によって大きく左右されてしまいます。バイナリーは「ディストリビューターが還元率をイメージしづらいプログラム」の代表選手でもあります。


バイナリーのメリットは、払い出しのレベル制限のない永久還元であること、力のあるディストリビューターの実績がダウンに公平に供与されることなどが挙げられます。

前述したように、応援しようとする側(左右の売上の少ない側)の、組織図上のどこで売り上げが起こっても上位者の基本的な収入の部分でメリット、デメリットを生まないので合理的な組織づくりが可能です。(どこを応援してもその側で同じ成果が得られるから)


上位者からのスピルオーバー(3人目以上の紹介者があふれてダウンに配置される場合の呼称)だけで、収入になるように印象づけて強引にあおって入会させる方法が多いのは、立ち上げ直後の組織構築の速度と、一定の会員数が構築されてしまっている場合の速度が大きく違いすぎることも原因となっています。(組織構築の速度というのは、この場合レベルが下がっていく速度のこと)。


これは、数の理論ではあたりまえのことで、例えば24人のダウンに2名ずつ構築されるには48人の入会で済みますが、6000人の場合1万2000人必要になります。立ち上げの際などある意味早い者勝ちの側面はありますが、あくまでも自分が努力して会員を獲得しなければ収入に結びつかないことをしっかりと認識することが大切です。ただし、バイナリー方式は最も組織を合理的に重ねることができるプランなので、成功しやすいプランであることは間違いありません。「自力」以外に「他力」が自分のボーナスを増やす場合があるのですからそれは当然と言えます。


一旦、バイナリープランで収入を獲得すると、従来のステアステップなどでよく起こった「追い越し」やダウンが同格者になることによる収入減、または組織図上の売上の位置(レベル)が遠くなることによる収入減が起こらないことから、消耗品による安定収入を目指すプランとしては非常に優れた面を持っているプランです。

オートポジショニング

ボリュウムによるポジショニング

バイナリーは2の倍数によって組織構築される。3人目以上の紹介者が、自分の組織図のどの位置に配列されるかという決め事を、一般的に「ポジショニング」や「マッピング」などと呼ぶ。最も多く採用されているパターンが、自分以下の組織で最も弱いところに自動的に配列される場合。(図-1参照)A~Hの登録があったと仮定し、Hが最後の登録。D~Gにはそれぞれの数字で示される件数の登録があるということ。

この場合Hは、どのグループにポジショニングされるのか?いっしょに考えてみてください。

たいていの人が、Dと答えるのではないでしょうか。答えはF。この答えが分かった人は、相当バイナリーに詳しい人だ。図-1を一目見ただけでは誰しも一番登録件数が少ないDにポジショニングされると考えがちだが、実際は違っている。


それでは、コンピューターのポジショニングの動き方を追って説明してみよう。

まずAからダウンを見る。その際、判断の基準となるのは、Bの合計登録件数とCの合計登録件数。つまりAから見たレフトとライトの登録件数の大小を最初に見る。図-1の場合、Bの登録件数は、D、E自身にDのダウンの5件と、Eのダウンの12件を足して合計19件。

Cの登録件数は、F、G自身と、Fのダウンの7件、Gのダウンの8件を足して合計17件。

コンピューターはこの時点で、Aから見て弱いほうはCである、と判断する。次にCから見てFとGの登録件数を比較。Fが7件でGが8件だから、今度はFを選択する。このようにしてHは、Fのダウンにポジショニングされる。Aから派生した3人目は、あくまでAからみて最も有利になるよう公平に左右に振り分けられるということ。当然、Bから3人目が派生した場合は、Bにとって最も有利に振り分けられるのでDにポジショニングされる。

このようなことを理解していないために、「早く登録しているのにスピルオーバーされない」という問い合わせや苦情の申し入れが主催企業に入る場合がある。自分の兄弟ライン(図-1ではDとEのような関係)の登録件数がスピルオーバーに影響するというポジショニングの仕組みをしっかり理解しなければならない。


  

レベルによるポジショニング

オートポジショニングのもうひとつの方法に、コンピューターがレベル(階層)で判断する場合がある。Aから派生した3人目以降のポジショニングを、Aから数えて一番近いレベルに配列するというものです。

この方法は組織のでき方によって、左右の登録件数のバランスが、公平に振り分けられない場合がでてくる。図-2を参照。これはその1例だが、Aから派生した3人目以降のポジショニングはL・M・N・Oに配列されてしまう。Aから左右の合計登録件数を見ると、Bのグループの登録件数は14件、Cのグループは22件。この場合Cが多いのにもかかわらずCのダウンに配列される。この傾向は組織が大きく複雑に構築されていくとさらに顕著に現れる。

登録順位が早いほうが絶対的に有利なのもこの方法。Aからのスピルオーバーを、あくまでもAの利益を優先と考えるか、それとも傘下の利益優先と考えるか、それは主催企業の判断による。


ウイングによるポジショニング

最近目立って採用企業が増えてきたのがウイングによるポジショニング。

ウイングは翼という意味だが、図-3を見てお分かりのように組織図が翼のような形になることから、このようなネーミングになったようだ。Aの3人目以降の紹介者は、Aのレフト・ライトの両端に限定されていずれか短いほうに配列される。ウイング上にいるメンバーは自分の片側が上位からのスピルオーバーによって構築されやすくなることから、もう片側の応援に徹することができるというメリットがある。


ポジショニングについて大まかに理解している方が多いようですが、実は思っているほど単純ではなく条件づけのプライオリティ(優先順位)によって、組織構築は大きく変化していく。

サイクルと還元率

サイクルボーナスの仕組み

バイナリーシステムによって発生するボーナスの中で、その中心部分といえるのがサイクルボーナス。最も採用企業が多い還元方法は、対象者のレフトとライトの売上の少ない方を基準として一定額が払い出される方法。


図-1を見てください。図-1の参考例では売上の少ない方のレッグ(レフト、ライトを2本の足に例えた呼称)が、一定の売上を達成するごとにボーナスが発生する仕組みになっている。

10万Pで1万円、20万Pで2万円、40万Pで4万円、80万Pで8万円発生するから、80万Pを達成すると累計で15万円のボーナスが発生する。このボーナスの最も大きな特徴は、発生した売上の組織図上の位置(レベル)によらず、最末端までの売上のみを数えるところにあります。(ただしレフトとライトの売上位置についてはボーナスに影響する)


昔、お正月にやった「すごろく」を思い出してほしい。「すごろく」で使うさいころの目を売上高とし、スタートから10万P、20万P、40万Pを経て80万Pが「上がり」と例えることができる。「上がり」まで到達したことを「フルサイクル」と呼ぶ。ただし実際の「すごろく」と違うところはゴールにたどり着いて「終わり」ではなく、また繰り返しスタート地点に戻るというところ。何度も繰り返し発生することから「サイクルボーナス」や「ラウンドボーナス」と呼ばれている。前述したように、このボーナスは売上が対象者から何レベル先で発生しても影響がない。つまりパスアップやワンツーシステムと同様、永久還元のひとつの形である。(図-2)


それでは還元率をシミュレーションしてみよう。トップが15万円を得るために必要なグループの最低限の売上は、レフト・ライト合わせて160万P。少ない売上の側が最低80万Pだから、サイクルボーナスを全部もらうためには、もう片側に最低80万Pなければならない。これだけを考えると、160万Pの売上でトップのボーナスが15万円だから「なんだ還元率は10%以下じゃないか」と思われるかもしれないが実際そうではない。 さらに図-3を参照。レフト・ライトのそれぞれの組織が隙間無く埋まっていったと仮定すると、トップから3レベル先まで図のようにサイクルボーナスが発生する。総払い出し合計は49万円となるので、還元率は49万円÷160万Pで約30%となる。ボーナス獲得権利者に対して該当売上が重複する構造がバイナリーの大きな特徴であるといえる。


フルサイクルの回数制限

バイナリー採用企業のほとんどが、サイクルの回数に制限を設けている。例えば1日に2サイクルまで、週ごとに何サイクルまでなどと上限を設けて、それを超える売上に関してはコミッションとして算出されないシステムになっている。なぜサイクルに制限を設けるのだろうか。図-4を参照。

図-3の売上を倍にしてシミュレーションしてみる。トップは2サイクル回るので30万円のボーナス。全体の売上とボーナスの払い出し総額の比率を算出してみると128万円÷320万Pで40%の還元率に上がる。総売上が160万Pのときは30%だった還元率が、320万Pの売上になると40%。複数サイクル達成者の数が増えるとそれにつれて還元率が上がる。このまま売上が大きくなると、ある時点から還元率が商品代金を超えてしまい過払いが起きる。以上のようなことからサイクルボーナスの回数に制限を設けて、制限を超えるサイクル分をリセットし還元率を調整する。リセット後の売上はボーナス計算の対象にせずにフローさせる。(切り捨て)主催企業によっては、日締めでサイクルを制限したり、さらに翌日のサイクルに有効な金額の上限を設定して持ち越させているところもある。これを「繰越」とか「持ち越し」と呼ぶが、この「持ち越し」をどこまで認めるかによって還元率が大幅に変動する。「積み残し」の100%累積を認めている企業は非常に少ない。

お分かりのここと思うが今まで述べてきたシミュレーションは、あくまでマックスの還元率の場合。組織構築が2の倍数ですべてきれいに埋まっていくことは100%ありえない。実際スタートしてみると想定した還元率よりはるかに低い場合もある。またその逆も。前者の場合、魅力の無いプランになってしまい、後者の場合は会社の存続が危ぶまれることに。主催企業側としても、そのようなことが起こるたびにプラン変更するわけにはいかない。ディストリビューターに対して、会社側として許される範囲内でマックスの還元をしていくためには、高い技術力と相応の経験が必要となる。そこがバイナリー採用企業の大きな課題でもある。

片伸び対策

リーダーシップボーナスとメガマッチボーナス

グループ総数は伸びたのに、あまり収入がとれなかったディストリビューターの多くが、組織の「片伸び」を経験している。それでは「片伸び」とは、具体的にどういうことなのか。なぜ「片伸び」すると収入がとれないのか。

バイナリーは、2の倍数で組織構築がなされている。左右のレッグの、売上の小さいほうがボーナスの算定基準となることはすでにお分かりのことと思うが、その差が大きくなるとボ-ナス対象にはならずに、失効になる売上分が多くなる。「売上のリセット」というシステムがその原因。バイナリー採用のMLM企業によっては、日締め・週締め・月締めなど、締め切る日時の違いこそはあるが、過剰分を一定のところでリセットするのが通例となっているからだ。(完全累積の企業もある)これはバイナリープランの大きな特徴で、リセットすることによって還元率の過剰な上昇をセーブする目的がある。図-1参照。プランによってフローした分の実績が失効になっている。


図-1の場合、定められた支払条件の上限を超えた分がリセットされてしまう。これが極端になると大幅に売上がリセットされてしまい、ディストリビューターがボーナスに対して不満を持つ結果になってしまうことがある。

そこで主催企業各社は、「片伸び」が起こっても、ある程度の収入を確保するために、プログラムによって防止策を講じている。片伸び防止策の代表的なプランは、「自分のレフト・ライトにかかわらず、自分が紹介したメンバーがフルサイクルを達成した場合、特定のボーナスが支給される」というもの。これは自分のレッグのレフト・ライトにかかわらず紹介者の実績によって発生するボーナスなので有効な防止策といえる。主催企業の多くは「リーダーシップボーナス」と、呼称しているところが多い。図-2を参照。


リーダーシップボーナスが紹介者のフルサイクル実績を算定基準としているのに対して、直接の紹介者が受け取ったサイクルボーナスの金額自体に特定の割合を設けて上位者に還元する方法もある。

一般的に「メガマッチ」(シナジーが最初に使った呼称です)と呼ばれる場合が多い。直接の紹介者が受け取ったサイクルボーナスに対して特定のパーセンテージが払い出される仕組みのことをいう。図-3を参照。


サイクルボーナスのみの採用で、それに付随して作用する「リーダーシップボーナス」や、「メガマッチボーナス」などが無い場合、極端に伸びているレッグのメンバーが、紹介者の積極的な応援が受けられないという事態を招いてしまう場合がある。勢いがつきすぎても売上がフローしてボーナスに反映されないため、わざと売上をセーブする。弱いほうの応援にばかり集中してしまい、強い側の応援やフォローに、つい手を抜いてしまう。その結果、メンバー同士の信頼関係が壊れてしまうことだって起こりうる。マーケティングプランが原因でそのような事態を招いてしまうのだから、プラン作成はよほど慎重に取り組む必要がある。


最近はさらに進化し、リアルマップ(実紹介系列)で、複数レベルまでメガマッチが届くものもある。

また、メガマッチ100パーセントの企業もある。これはどうか。メガマッチ100%ということはサイクルボーナスの還元率が極端に低くなければ実現しない。数の理論でお分かりと思う。さらに上位側からの意識と下位側からの意識をあわせて考えなければならない。自分の紹介者が、自分とまったく同じサイクルボーナスを受け取れると考えたときに、はたしてその不合理性を感じないだろうか。自分の努力の成果が、ただ紹介者であるという優位性のみで100%、つまり同じだけの報酬になるのである。それを考えた時どうするか。紹介者との間にもう1ポジションかまそうと考える。身内の誰かの名義であれば複数登録にならない。実質的には自分の名義。紹介者にはメガマッチが届かない。「メガマッチ飛ばし」と呼ばれていて慣行化している。結果、メガマッチが機能しない。ただしMLM主催企業は大喜びである。一人で二口登録が進めば、商品は倍の売上になる。まさに「過ぎたるは及ばざるが如し。」ほどほどのパーセンテージでなければいけない。

「リーダーシップボーナス」や「メガマッチボーナス」などの付帯条件は、単に片伸びした時の保険的役割という以上に、大きくバイナリープランの発展に貢献した。

それは、ネットワークビジネスには絶対欠かせない基本「紹介者のフォロー」というモチベーションを大きく増幅させる結果になったからだ。ステアステップなどと比較されるバイナリーの最大の課題、「強いリーダーの育成」は、このような付帯条件の進化によって解決されつつある。